本研究の目的は、半乾燥地域で発達してきた農耕と牧畜を中心とする複合生業システムの変容の過程、および現代社会の中で複合生業がもつ意味を検討し、現代の複合生業論を再構築することである。本研究では、南部アフリカの半乾燥地に位置する複数の社会を対象に、農耕と牧畜を中心とする複合生業に関する現地調査を実施し、複合生業の変容過程と現代的な意味を多面的に検討した。その結果、南部アフリカの半乾燥地域で実践されている複合生業には、アグロフォレストリーによる耕作地土壌の養分循環機能、樹木の牧畜への寄与、気象災害に対する脆弱性緩和など、複合生業が有する多面的な機能が明らかとなった。
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