研究課題
最終年度において、研究代表者は当初の研究実施計画に沿って、幕末・維新期をめぐるような前年度までの研究成果を踏まえ、1880年代以降の日本仏教論の検討を続けた。特に大日本帝国憲法が発布される前の段階において、仏教者は「国民道徳」の課題に如何に取り組んでいたのかなどを検討し、学術論文の用意もできた。また、1890年代前半より形成されるような思想的営為は、日清・日露戦争の時期においていかに展開していくのかを検討すべく、同時期における仏教者の「修養」なる観念に焦点を当て、その成果は近刊の学術図書に収録される予定である。研究代表者はさらに、世紀転換期の倫理思想が宗門の教理体系の再編成にいかなる影響を及ぼしたかについても検討し、その成果を2016年11月に開催された、American Academy of Religion(AAR)の学術大会の枠組で開かれるInternational Association of Shin Buddhist Studies(IASBS)のパネルセッションで報告した。また、昭和初期における日本仏教論を、当時の史学思想との関係において考察し、かかる成果を上記のAAR大会のJapanese Religions Groupで発表した。そして最後に、昭和初期まで形成されてきた思想界は、「大日本帝国」が崩壊し、植民地が没収される戦後まもなくのコンテキストにおいて如何に連続し、断絶したのかも考察し、その成果の一部を『戦後歴史学と日本仏教』として公開した。本課題の成果はこれからも、2017年8月にポルトガルで開催されるEuropean Association for Japanese Studies(EAJS)や、10月に行われる日本思想史学会の学術大会のような国内外の研究集会で報告を続け、単著の形式でも、公開する予定である。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Anais do XI Congresso Internacional de Estudos Japoneses no Brasil / XXIV Encontro Nacional de Professores Universitarios de Lingua, Literatura e Cultura Japonesa
巻: XXIV ENPULLCJ/XI CIEJB (2016) ページ: 印刷中