研究実績の概要 |
初代銀河の環境依存性とその光学的特性について調べた。赤方偏移6において、10の12乗太陽質量のハローを形成する領域を宇宙論的流体計算によりシミュレートし、銀河の形態進化を解析した。結果として、高密度領域では、星からのフィードバックがあるものの、周りから銀河への非常に高いガス降着率のため、長時間安定した銀河ガス円盤が形成されることがわかった。また、多波長輻射輸送計算を実行し、星からの紫外線のほとんどは星間ダストに吸収され、大質量銀河は赤外線で明るく輝くことを示した(Yajima. et al. 2015, MNRAS, 451, 418)。このような銀河は、近年アルマ望遠鏡で発見されている初期宇宙のサブミリ銀河に対応している可能性を示唆した。また、初代銀河の進化を理解する上で重要なピースの一つである巨大ブラックホールの形成について、半解析的手法を用いて調べた。そこでは、初代銀河同士が合体した場合、銀河中心に大量のガスが流れ、高密度な星団が形成される過程をモデル化した。結果として、10の8乗太陽質量の初代銀河同士が合体した場合、形成される星団はコアコラプス過程により潰れ、中心で1000太陽質量程度のブラックホールが作られることがわかった。そして、星団内の星がブラックホールに降着することで、ブラックホールは10万太陽質量程度まで成長することを示した。その後、このモデルをHalo merger treeと組み合わせることで、ブラックホールの質量関数を求めた。それにより、我々の星団モデルによって作られるブラックホールが、赤方偏移6-7で発見されている超大質量ブラックホールの種になっている可能性を示唆した(Yajima et al. 2016, MNRAS, 457, 2423)。
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