研究課題/領域番号 |
15H06028
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
金 鍾官 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90757733)
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研究期間 (年度) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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キーワード | 繰返し最小間隙比 / 液状化被害 |
研究実績の概要 |
地震時の液状化被害を予測することは建物やインフラへの被害を防ぐため大事なことであるが、現在の評価法では細粒分を多く含む地盤に対しては適切な評価ができていない。その原因として現在用いる密度指標が適切ではないことが原因の一つであると考えられる。そこで申請者は地震時の土の真の圧縮性を表す繰返し最小間隙比を提案した。しかし、提案した手法はかなり複雑な装置を用いることやその方法が複雑であること、またかなりの時間がかかる問題があり、多様な材料に対してその試験を行うことが困難であった。そこで、本申請者は小型せん断土槽を改良することより、より簡便に繰返し最小間隙比を求めることに着手しており、現在土槽の改良がほぼ済んでいる。この土槽を用いることで従来1ケースあたり1週間ほどかかった実験が約1~2時間で終わるようになった。今後この実験装置を用いて多様な土に対して研究を進める予定である。 最小間隙比に関する考察とは別途に、最小間隙比状態(一番密な状態)での液状化強度に関する検討も進めている。最小間隙比状態での土の液状化強度が評価できることで、それぞれの材料が持っている液状化に対する抵抗ポテンシャルが評価可能となり、液状化被害評価に大事な情報となる。但し、自然に存在する土は無数であり、液状化強度が土の一次的性質の中で何に一番依存するかがはっきりとなっていない。今後、材料の種類を増やし、データを蓄積することで、その検討が可能になると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
試験装置の改良を行っているが、土槽を完全に非排水状態にすることが以外と難関であり、多様な方法を試したことや部品が特注品であるため、想定より遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
現在試験装置の改良は済んでいるため、今後は各地から採集した様々な土を用いて繰返し最小間隙比を求めることで、土の一次的性質と繰返し最小間隙比の関係について検討できると考えられる。土の一次的性質とは、粒度分布、土粒子密度、粒子形状、細粒分含有率、粘土分含有率などがあり、それぞれ土の特性に影響を及ぼす。特に、今までの申請者の研究によると、繰返し最小間隙比は土の粒度分布と粒子形状に依存する傾向を示したが、実験方法が複雑であるため多くの材料に対して検討できていないのが問題であった。そこで、申請者は、可能である限り自然の様々な土を採取し、その土に対して実験を行うことで、土の一次的性質と繰返し最小間隙比の関係を明瞭を示すことができると期待している。これより、実際の現場で材料だけで土の真の圧縮性が推測でき、液状化被害の簡易評価(一次スクリーニング)が可能になると考えられる。 また、同じ材料に対して、繰返し液状化強度試験を行うことで、最小間隙比状態での土の液状化抵抗の差が何に依存するかが明らかになり、土のどんな物理特性が大きく影響しているかが特定できると期待される。
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