研究課題/領域番号 |
15H06033
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
丹羽 伸介 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (30714985)
|
研究期間 (年度) |
2015-08-28 – 2017-03-31
|
キーワード | 細胞骨格 |
研究実績の概要 |
線虫の感覚受容細胞特異的なプロモーターを用いて、さまざまなオルガネラマーカーを発現する株を作製した。 その結果、繊毛、ミトコンドリア、シナプス小胞、ペルオキシソームなどを可視化することに成功した。さらにこれらの株を用いて病気の原因遺伝子ホモログを欠損した変異体の網羅的なスクリーニング(candidate screening)、およびEMS mutagenesis法によるスクリーニング(unbiased screening)をおこなって、これらのオルガネラの形態を制御する因子を遺伝学的に探索した。結果として (1)繊毛の形成に異常が起こる変異体を同定し、その原因遺伝子のクローニングを行うことに成功した(論文投稿中)。 (2)シナプス小胞の局在を制御する遺伝子の変異体を複数同定することに成功した。 (3)ミトコンドリアの繊毛の根元への局在を決定する因子の候補を複数同定することに成功した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の予定では初年度は単一の神経細胞でオルガネラを可視化することを目標としていた。しかし、単一の神経細胞特異的に様々なオルガネラを可視化することに成功したばかりでなく、オルガネラの形態や局在に異常が起こる変異体を多数同定することができた。繊毛の形態形成に関与するift-139という遺伝子の変異体の単離とクローニングに成功し、ヒトの繊毛病の原因のモデルを確立することに成功し、論文を投稿するまでに至った。また、新規のシナプス小胞の軸索輸送変異体を複数単離することにも成功しており、これら遺伝子が軸索輸送モータータンパク質UNC-104の上流で働く未知の因子であることを示唆する遺伝学的なデータを得ることができた。ミトコンドリア輸送の変異体に関しては原因遺伝子のクローニングにも成功している。
|
今後の研究の推進方策 |
シナプス小胞の軸索輸送変異体についてはHawaian strainを用いたSNPマッピングによって原因遺伝子を決定する。 ミトコンドリアの輸送に関与する因子についてはクローニングしたcDNAを用いたレスキュー実験や、二重変異体の作製などといった遺伝学的な実験を行う。これにより、どのようにしてミトコンドリアが繊毛の根元まで輸送されるのか、その分子メカニズムを明らかにする。
|