現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)In vitro 系における FABP3 合成リガンドのα-シヌクレイン多量体形成阻害作用および細胞保護作用について評価 本研究では α-シヌクレインおよび FABP3 の共発現系を用いFABP3 合成リガンドによるα-シヌクレインオリゴマー形成抑制効果を検討した。それぞれのリガンド 10 μM を前処置すると、MPP+ が引き起こす α-シヌクレインオリゴマー形成が抑制された。この抑制効果は FABP3 との親和性が非常に高いリガンド1において特に顕著であった。非親和性リガンドではα-シヌクレインオリゴマー形成は抑制されなかった。FABP3 合成リガンド前処置により、MPP+ 処置による細胞死が抑制された。 2)MPTP 投与マウスに対する FABP3 合成リガンド投与による改善効果の検討 上記実験において、最もα-シヌクレインオリゴマー形成抑制効果が強かったリガンド1がMPTP 投与マウスの運動機能障害を改善するか検討した。MPTP (25 mg/kg, i.p.) を一日一回五日間連続投与後、リガンド1 (0.1, 0.3 or 1.0 mg/kg, p.o.)または非親和性リガンド(1.0 mg/kg, p.o.)を一日一回二週間投与した。運動機能をローターロッド試験およびビームウォーキング試験により評価したところ、MPTP 投与マウスにおける運動機能障害がリガンド1(0.3 or 1.0 mg/kg, p.o.)投与により有意に改善した。また、リガンド1(0.3 or 1.0 mg/kg, p.o.)は黒質ドパミン神経細胞死を抑制した。一方、非親和性リガンド投与ではこれら改善効果はみられなかった。
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