新生児発症短小腸症候群患者2例への魚油由来死亡乳剤単独投与を臨床研究として施行した。病理学的検討にて本剤使用開始後には脂肪性肝炎による炎症細胞浸潤や肝細胞壊死像は消失し、肝線維化が抑制されていた。本症例の血漿中の92種類の脂肪酸およびその代謝産物を液体クロマトグラフィー質量分析計(3連四重極型)で網羅的に解析し、複数の脂肪酸代謝産物が正常小児に比し4~10倍に増加していることを見出した。これらの代謝産物を申請者らは仮にOIF(Omegaven-induced-factor)と名付けた。OIFには抗炎症作用や糖代謝促進作用など作用が既知の物質の他に生体内での意義が未知のものも含まれていた。
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