研究課題
気候と人間活動や文明の盛衰との関連は長く議論され続けてきた1大テーマである。多くの研究でグローバルスケールの気候変動との関連が着目される一方で、ローカルスケールでの気候や微気候と人間活動の対応に着目した研究はより寡少である。本州中部地方・関東地方内陸部の縄文時代中期・後期の気候変動と人口動態に関する研究はその好例である。従来の花粉分析法により同地域・時代の寒暖が調査されたが、この手法にも気候変動と植生変化との間のタイムラグや、短期間の著しい気候の変化を見逃す可能性等のリスクがある。そこで本研究では、花粉の種類ではなく地球化学的特徴にもとづくローカルな気候変動の復元法を開発することを主な目的とした。まず本邦の様々な現生植物の花粉を収集し、その炭素同位体比測定のための前処理方法を検討した。種によって花粉の構造や密度が異なるため溶媒中での浮沈に違いがみられるが、各種の溶媒やメッシュを用いた簡便な化学処理の方法を確立した。つぎに得られた炭素同位体比と花粉形成時期の各種気象観測データとの関連を調べたところ、いくつかの樹木の花粉(「スポロポレニン」)で気象パラメータとの間に相関がみられ、その相関の強さも種によって異なることが明らかとなった。計画期間内に本研究の最終目標である堆積物中の花粉化石の分析には至らなかったものの、本研究により花粉の炭素同位体比がローカルな気候変動の復元に利用できる可能性を示唆することができた。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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