研究実績の概要 |
平成27年度までに、矮性トマト品種マイクロトムの変異体集団(変異体95系統、野生型1系統)の96plexエクソーム・ライブラリーを作成済であり、平成28年度は次世代シークエンサー(next-generation sequencer, NGS)によるデータ取得とバイオインフォマティクス解析を実施した。Illumina Hiseq-2000, 3レーン解析により、96系統のショートリード情報を一斉取得し、続いて、トマトのレファレンスゲノム情報(Heinz SL2.5)に配列アライメントを行った。ターゲット遺伝子エクソン領域のカバー率は約98%であったことから、エクソームキャプチャーの効率は期待通りであった。次に、野生型マイクロトムのNGSデータ(上記の1系統+別プロジェクトで取得の5系統)を対照として、intra-cultivar variation(品種内DNA多型)をサブトラクションし、変異体集団にのみ存在する変異情報を抽出した。のべ200,000以上の変異が同定され、それらの9割以上が各変異体に固有の変異であった。また、アミノ酸置換やナンセンスなど、タンパク質機能に影響を及ぼすと考えられる変異は約60,000個であった。これらのエクソーム変異情報をデータベース化し、webブラウザで遺伝子IDから変異体を探索可能なアプリケーションを独自のLAMPサーバーにて開発した(論文公開と共にインターネット上で公開予定)。いくつかの変異遺伝子についてはサンガー法にて追試を行い、実際に変異情報が正しいことを確認した。当該手法の確立により、TILLINGやHRM解析、ターゲット・リシークエンシングを行わずとも、in silicoで変異体同定することが可能になった。将来的に変異体集団を拡充することにより、より利便性が高いデータベースが構築できると考えられる。
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