研究課題/領域番号 |
15H06078
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
花村 健次 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40361365)
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研究期間 (年度) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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キーワード | NMDA受容体 / 神経活動依存性 / 加齢脳 / アクチン細胞骨格 / 樹状突起スパイン / ドレブリン / アクチン結合タンパク質 |
研究実績の概要 |
本研究は、NMDA型グルタミン酸受容体の脳内での神経活動依存的局在変化を検出する実験系を構築し、アクチン細胞骨格系の成熟不全を原因とする加齢脳特異的シナプス機能異常マウスを用いた解析を行うことで、神経活動依存性NMDA受容体動態の加齢依存性の制御機構を明らかにすることを目的としている。この加齢脳特異的シナプス機能異常マウスとしてアクチン結合タンパク質であるドレブリンの発達期の(EアイソフォームからAアイソフォームへの)神経特異的なアイソフォーム変換が起こらないノックアウトマウス(DAKOマウス)を用いている。このマウスでは神経活動依存的なNMDA受容体動態に異常があることを免疫電顕を用いた解析により報告してきており (Aoki et al., 2009)、こちらがシナプス可塑性(海馬CA1における長期増強)や学習行動(文脈依存的な恐怖条件づけ学習)について異常が出現する時期 (Kojima et al., 2010; Kojima et al., 2016) と、どのように対応しているか明らかにしようとしている。このため、長期増強や学習行動に異常の見られた月令の野生型マウスとDAKOマウスにNMDA受容体のアンタゴニストを腹腔投与し、その後、生化学的な解析を行うため、脳を取り出した。定量的な解析を行う上で必要なサンプル数をコントロールの生理食塩水を腹腔投与したものと合わせて準備できつつある。生体脳イメージングのためのプラスミド等の準備はできつつあり、一部は神経特異的な発現を可能とするプロモーターを含むプラスミドに組み替えたものも使用可能である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験に用いるDAKOマウスの交配は順調に進んでおり、生化学的なアプローチによる解析のための7~9ヶ月令の野生型およびDAKOマウスの脳のサンプルは予定よりも早く揃いつつある。これに対して、生体脳でリアルタイムイメージングを行うための準備が遅れている。pH感受性GFP標識されたNMDA受容体各サブユニット (GluN1, GluN2A, GluN2B)のコンストラクトの準備は整い、一部は、神経特異的なプロモーターを持つプラスミドで発現可能なものが準備できているが、他のものは、準備が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
生体脳イメージングに向けての準備を進める上で、生体脳への遺伝子導入や2光子顕微鏡によるイメージングを優先的に行う。そして、生化学的解析から得られた情報を基に、神経活動依存的なNMDA受容体の局在変化を生体脳においてリアルタイムイメージング解析する時期を決定する。
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