研究課題/領域番号 |
15H06080
|
研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
菊地 沙織 群馬大学, 大学院保健学研究科, 助教 (10758254)
|
研究期間 (年度) |
2015-08-28 – 2017-03-31
|
キーワード | 高齢者 / がんサバイバー / 役割 |
研究実績の概要 |
高齢がんサバイバーに面接調査を行い、自己の存在意義、役割をどのようにとらえているか、がん罹患をどのように意味づけているのかを明らかにすることを目的に、因子探索型研究を実施した。研究方法は、A病院に入院中で、条件(①65歳以上のがん患者(がんの種類は問わない)②言語的コミュニケーションが可能③Performance Status (PS)が0から2)を満たし、研究の同意が得られた者を対象とし、半構成的面接を行った。面接内容は、がんに罹ったことをどのようにとらえているか、自身が担っている役割はあるか、その中で重要視している役割は何か等であった。その他、診療録から対象者の基本属性についての情報を収集した。 データ収集までの手続きは、研究実施施設の責任者に口頭および文書で研究の主旨の説明を行い、協力を依頼した。協力の同意が得られたあと、研究実施施設病棟の看護管理者に選定条件を満たしている対象者の紹介を依頼した。研究対象候補者に対し、看護管理者より研究の概要を説明していただき、同意が得られた場合、改めて研究者から説明を行い、同意が得られた場合、看護管理者に報告の上、面接日程を決定して実施に至った。倫理的配慮として、面接はプライバシーが確保できる個室で行い、個人情報を扱う場合、個人名のナンバリングを行い、処理した。面接内容の録音は、対象者から同意が得られた場合にのみ行い、面接の途中でも、録音の中止が可能であることを事前に説明する等、倫理的規範に基づいて研究を実施した。 12名の対象者から得られたデータはクリッペンドルフの内容分析の手法を用い、質的帰納的に分析した。分析の結果、高齢がんサバイバーは、がんに罹患しても実施可能な範囲で役割を担い、体調や体力に合わせて役割を保持していることが明らかになった。他者の手助けが必要になったとしても、「自分」という存在を保ちたいという思いが語られた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年に研究実施施設と別施設が統合・再編することに伴い、平成27年12月から研究実施施設の看護体制の調整が行われた。そのため、入院患者の受け入れ制限により予定しいていた研究対象者の確保が困難となった。さらに、統合後の新施設での調査のための調整に時間を要してしまったため、当初の計画よりも遅延してしまった。
|
今後の研究の推進方策 |
高齢がんサバイバーを対象とした因子探索型研究の分析結果の飽和化を確認するための追加面接を行う。同時に、文献検索ツールの医学中央雑誌、PubMedを使用し、「老年期/高齢期」「がん」「存在価値/存在意義」のキーワードで文献検索を行う。該当した文献を用いて概念分析を経て、看護支援モデルの構成要素を抽出し、引き続きモデル開発に取り組む。
|