高齢がんサバイバーに面接調査を行い、自己の存在意義、役割をどのようにとらえているか、がん罹患をそのように意味づけているかを明らかにすることを目的に、因子探索型研究を行った。研究方法は、A病院に入院中で、条件(①65歳以上のがん患者(がんの種類は問わない)②言語的コミュニケーションが可能③Performance Status(PS)が 0から2)を満たし、研究の同意が得られたものを対象とし、半構成的面接を行った。面接内容は、がんに罹ったことをどのようにとらえているか、自身が担っている役割はあるか、その中で重要視している役割は何か等であった。その他、診療録から対象者の基本属性についての情報を収集した。 12名の対象者から得られたデータは、クリッペンドルフの内容分析の手法を参考に 質的帰納的に分析した。分析の結果、高齢がんサバイバーは、がんに罹患しても実施可能な範囲で役割を担い、体調や体力に合わせて役割を保持していることが明らかになった。高齢がんサバイバーは、他者の助けが必要になったとしても、「自分」という存在性を保ちたいという思いを持っていることが明らかになった。 さらに、看護学を中心とする学問領域の学術論文の中で「高齢がんサバイバーの存在意義」の使われ方を見るために、CINAHL、PubMed、医学中央雑誌Web版 ver.5を用いて文献検索を行った。“old age”“cancer”“existence value/importance of existence/meaning of existence”のキーワードを用いて文献検索を行った結果、和文献19件、英語文献23件が該当した。これらの文献を用い、概念分析を行っている。その結果をもとに、看護支援モデルの構成要素を検討し、引き続きモデル開発を目指す。
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