本研究では、幼児が聴取能力を発揮して歌唱活動を行うために適した歌唱環境と支援の方法を解明することを目的とした。まず4園の幼稚園の一斉歌唱を観察し、幼児が歌を習得する過程を分析した。次に保育者へインタビューを行い、歌唱活動の環境設定に関する彼らの意図を調査した。これらの結果を踏まえ、歌唱環境の要素の一つである伴奏楽器の役割を調査するための実践プログラムを計画し実施した。ピアノや他の楽器での伴奏による幼児の歌声の違いを比較し、これらの楽器を保育室に導入した時の幼児の言動を記録した。その結果、多様な楽器を保育室に導入することで幼児の音への興味が引き出され、聴く力が発揮される可能性があると示唆された。
|