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本研究課題は、環境化学物質を含む環境要因が妊娠中の女性の腸内細菌叢にどのような影響を与え、さらにその変化が児の健康に与える影響を明らかにすることを目指すものである。本研究は妊娠13週未満の妊婦を対象とした出生コホート研究を基盤とし、参加母児の糞便を含む生体試料の採取および一部検体の腸内細菌叢解析、臍帯DNAメチル化解析を行った。参加者登録は平成28年６月に終了し、確定した。本コホート研究のプロトコール及び参加者プロフィールをまとめ、国際誌（Sakurai K et al. BMJ Open 2016）に報告した。本コホート参加者は、433名であり、平均年齢32.5 (±4.4) 歳、平均body mass index (BMI) 21.1 (±3.0) kg/m2であった。妊娠初期の喫煙率は5.0% であった。平成28年1月に全参加者の出産が終了し、妊娠中及び出産までの生体試料の採取が完了した。腸内細菌叢の解析では、妊娠初期及び後期における腸内細菌叢の変化を検討したところ有意な変化は認められなかった。解析例数が少ないことが影響したと考えられる。腸内細菌叢と糖尿病に関連する遺伝子近傍のDNAメチル化の関連を検討したところ、母体腸内細菌叢のFirmicutes門とこれら遺伝子近傍のDNAメチル化が関連することが見出された。母体腸内細菌叢と胎児組織の糖尿病関連遺伝子のメチル化が関連するという報告はなく子宮内環境因子が肥満や糖尿病といったnon-communicable diseases（NCD）の発症に関与するメカニズムの解明の寄与するものと考えられる。今後、腸管内メタボローム解析などと合わせて、より詳細な検討を行う必要がある。
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