研究実績の概要 |
ビタミンDは骨代謝や免疫調節に関連した様々な作用を持ち、その不足は乳幼児の骨疾患だけでなく、成人の免疫性疾患、悪性腫瘍などのリスクとも関連するため、代謝物を含めた精確な定量が必要である。ビタミンD代謝物は分子構造によってその生物学的活性が大きく異なり、代謝動態の正確な評価には精密定量法の構築が不可欠である。 LC-MS/MSによる血清ビタミンD代謝物[25(OH)D; 1,25(OH)2D; 24,25(OH)2D]の分析方法を構築するため、初年度は、質量分析、HPLC、検体前処理法の最適化を行った。Cookson型試薬によりビタミンD代謝物を誘導体化することでイオン化効率が上昇し感度および特異性が大きく向上した。加えて、抗体を用いた前処理法の利用により、血中濃度の最も低い1,25(OH)2Dの分析も可能となった。その結果、6種類のビタミンD代謝物[25(OH)D3/2; 3-epi-25(OH)D3; 1,25(OH)2D3/2; 24,25(OH)2D3]を精度良く(CV<10%)分別定量する測定系を構築することができた。
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