研究実績の概要 |
ビタミンDは骨代謝や免疫調節に関連した様々な作用を持ち、その不足は乳幼児の骨疾患だけでなく、成人の免疫性疾患、悪性腫瘍などのリスクとも関連するため、代謝物を含めた精確な定量が必要である。ビタミンD代謝物は分子構造によってその生物学的活性が大きく異なり、代謝動態の正確な評価には精密定量法の構築が不可欠である。 本年度は初年度に構築したLC-MS/MSによる4つの血清・血漿ビタミンD代謝物[25(OH)D3/2; 3-epi-25(OH)D3; 24,25(OH)2D3]の分析法のバリデーションを行なった。これら4つの血清・血漿ビタミンD代謝物について、採血管の違いによる影響や溶血・乳びといった解析に影響を与える要因について検証を行ない、いずれも分析結果には影響を与えないということを確認した。また、25(OH)Dは従来のRIA法ではLC-MS/MS法に比べて高値傾向を示し、3-epi-25(OH)Dや24,25(OH)2Dといった構造類似体を測り込んでいる可能性が示唆された。これらの結果について、英文誌(査読あり)に発表した(Anal Bioanal Chem. 2016; 408: 7617-7627)。
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