家族性大腸線腫症(FAP)は詳細な発癌分子機構が未だ解明されていない。今回我々はFAP14症例から計127個の検体を採取し、腫瘍の層別化を行った。散発性大腸癌に認めるBRAF変異・DNA高メチル化はFAP腫瘍には認めず、FAP腫瘍はKRAS変異(+)中メチル化群とKRAS変異(-)低メチル化群の2群に大別された。また同じAPC変異を持つ同一家系内においても、あるいは同一症例における異なる結腸部位においても、2つのサブタイプによる腫瘍形成を認めた。FAPの発癌には少なくとも2つの分子経路が存在し、その発癌機構は散発性大腸癌と類似し、サブタイプ形成には胚細胞性変異の有無に関連しないことが示された。
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