平成28年度は、平成27年度に実施した日本での聞き取り調査、文献調査をもとにしながら、DNA型鑑定に関する人々の認識について、国際的な観点からの調査と分析を行った。具体的には、犯罪捜査や裁判でのDNA型鑑定の利用や、DNA型鑑定への人々の認識に関して活発な議論が行われているアメリカの状況に着目し、その調査と国際比較を実施した。 まず日本において、アメリカのDNA型鑑定に関連した文献調査を行い、続いてアメリカにおいて、DNA型鑑定をはじめとする科学鑑定に関する研究者への聞き取り調査、DNA型鑑定で重要な役割を果たしている統計学やデータベースの研究を行っている複数の研究者への聞き取り調査、およびDNA型鑑定に関する文献調査を遂行した。さらに、科学鑑定の専門家を中心としたアメリカの学会である、American Academy of Forensic Sciencesの年次研究大会に参加し、DNA型鑑定を行う専門家との意見交換、情報収集を行った。 これらの調査をとおして、アメリカにおけるDNA型鑑定に関する人々の認識や、DNA型鑑定の運用に関連してどのような問題が生じているのかを検討した。さらに、アメリカと日本の状況との比較を行い、日本におけるDNA型鑑定への人々の認識やDNA型鑑定に関連する問題の特性を明らかにした。 加えて、平成27年度からの研究結果をまとめ、科学技術社会論学会の学会誌である『科学技術社会論研究』において発表した。
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