研究課題/領域番号 |
15H06109
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
森田 健嗣 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教務補佐員 (20761422)
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研究期間 (年度) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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キーワード | 台湾 / 同化政策 / マイノリティ / 先住民族 |
研究実績の概要 |
本研究は戦後台湾の先住民族社会(山間部に居住)における「山地平地化」と称された漢民族文化への同化政策(1950年代~80年代)の展開について、歴史的経緯にそくし全体像を明らかにすることだった。本研究では政策史的な追究(上からの視点)を進めつつ、受け手(下からの視点)の双方に目配りし立体的な奥行きを付与するため、近年公開が開始された一次資料調査を進めようとした。先行研究は主に漢民族が居住する台湾平野部に関する研究が進められてきたが、山間部の先住民族に関する研究は不十分である。本研究により、台湾山間部における日本植民地統治期から戦後の国民党一党支配時期にかけての連続した同化政策の全体像が明らかになると予想された。だが、本研究を進めるなかで、1950年代の山地行政を主管する台湾省民政庁の長を務めた楊肇嘉(1892~1976)の個人文書「六然居典蔵史料」(所蔵先:中央研究院台湾史研究所档案館(The Archives of Institute of Taiwan History, Academia Sinica)(台湾台北市))の公開が遅延する旨の連絡が届いた。 近年台湾の歴史学界では戦後(1945年以後)の台湾先住民族がおかれた歴史に関心が向けられていることから、まず当時の山地での教育を経験した人々の回想などを博そうし、戦後の国民党政権の政策展開に対する台湾先住民族社会の下からの多様な反応が見いだすことを目指ざした。具体的には台湾の学術誌掲載論文はもとより、台湾の学界で先端的な問題提起や資料・史料発掘が見いだせる修士論文レベルまで拡げて二次文献を徹底的に収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1950年代の山地行政を主管する台湾省民政庁の長を務めた楊肇嘉(1892~1976)の個人文書「六然居典蔵史料」(所蔵先:中央研究院台湾史研究所档案館(The Archives of Institute of Taiwan History, Academia Sinica)(台湾台北市))が、本研究課題の研究遂行に不可欠な一次資料であった。公開状況を所蔵研究機関に問い合わせを行ったところ、先方の都合により当初予定していた時期より遅れて公開が始まるとの返答が届いた。それに伴い、研究の進捗が遅延することになった。
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今後の研究の推進方策 |
一次資料(楊肇嘉の個人文書)の収集作業は次年度に行い、二次資料の収集を行う。近年台湾の歴史学界では戦後(1945年以後)の台湾先住民族がおかれた歴史に関心が向けられている。そこで当時の山地での教育を経験した人々の回想などを博そうして、戦後の国民党政権の政策展開に対する台湾先住民族社会の下からの多様な反応が見いだすことを目指ざすべく、台湾の学術雑誌の論文はもとより、台湾の学界で先端的な問題提起や資料・史料発掘が見いだせる修士論文レベルまで拡げて二次文献を徹底的に収集することにする。
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