研究課題/領域番号 |
15H06121
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小林 美月 東京大学, 経済学研究科(研究院), 特任助教 (90757832)
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研究期間 (年度) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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キーワード | ソフトウェア開発アウトソーシング / ソフトウェア種類 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、タスク特性に着目してアウトソーシング・マネジメントを明らかにすることである。具体的に、主にインタビュー調査や公表データを通して企業のソフトウェア開発アウトソーシングに研究対象を絞る。ソフトウェア開発の際に、タスクの特性、その特性に必要な人材、アウトソーシング先の能力はどのようなものであり、顧客企業のなかで統合のマネジメントをいかにするか、など体系的な研究が見当たらない。本研究は、ソフトウェア開発タスクの特性を明らかにしたうえで、顧客企業の統合プロセスについて考察する。本年度に行った研究内容とその実績は以下のように整理することができる。 中国大連の現地ソフトウェア開発企業や日本に立地するインドのソフトウェア開発企業へのインタビュー調査を通じて、ソフトウェアの種類によって、タスク(工程)を担う発注側と受注側との調整メカニズムが異なることが分かった。パッケージ・ソフトウェアの場合、顧客企業は、当該ソフトウェアを導入するのに、ソフトウェア開発企業を活用することが多くみられる。ソフトウェア開発企業は、顧客企業内部の知識をパッケージ・ソフトウェアにある程度のカスタマイジングを行うが、あくまでもパッケージ・ソフトウェアの既存の機能を最大限に生かすことを前提にしている。従って、カスタマイズの部分を仕上げれば、専門知識を持ったソフトウェア開発企業によって、顧客企業に対するパッケージ・ソフトウェアの迅速な導入が実現される。この内容について、許・小林(2016)にまとめて公表している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、科研費と時間の許すなか、中国や日本にてフィールドワークを実施することができた。これまで日本企業や中国企業を中心に研究調査してきたが、日本に立地するインドのソフトウェア企業にも研究調査ができ、タスクの特徴だけでなく、ソフトウェアの種類に着目すること、という知見を得られた。
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今後の研究の推進方策 |
ソフトウェアの種類、それによって工程間調整の特徴を明らかにする予定である。本年度は比較的汎用性のあるソフトウェア(パッケージソフトウェア)に関する調査を行うことができたが、今後は、カスタム・ソフトウェアに注目していきたい。日本企業が主にソフトウェア開発をアウトソーシングする中国の場合、地域ごとの立地環境も考慮し、研究調査を行う計画である。
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