研究課題/領域番号 |
15H06126
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
村田 美和 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任研究員 (00756330)
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研究期間 (年度) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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キーワード | 英語学習 / 読み書き障害 / 学習障害 / 評価課題 |
研究実績の概要 |
本年度は、半年間の研究期間であったが、英語の読み書き評価課題作成の基礎となるデータを、公立の中学校に協力していただき収集することができた。中学1年から3年までの生徒378名に協力していただいた。また、参加した生徒の中から、相談の希望のあった1.2年生の生徒14名に対し、英語の学習状況に関する聞き取りを行うことができた。相談を希望した生徒は特に読み書きや発達に関わる診断等は持っておらず全員通常学級に所属する生徒であった。これらの生徒の多くは、英語の学習につまずいており、勉強しても点数が上がらない、スペルが覚えられないといった訴えが多かった。学習方法について問うと、単語を書いて学習するという生徒が多く、たくさん書いてもなかなか覚えられないということであった。こちらからは、個々の相談内容に応じて、パソコンやタブレットを用いて音声化する方法や、電子教科書の存在、スペルを思い出せない時にすぐに調べられる方法などについて見本を見せるとともに、それらの活用について情報の提供を行った。また、追加情報として、小学校の頃から現在までの漢字の学習の様子について各生徒に質問すると、漢字も苦手であるという生徒が非常に多かった。このことから、漢字の苦手さと英語の苦手さの関連についても、次年度以降の調査内容に反映させたいと考えている。 また、英語の読み書きに困難さを持つ生徒の個別の認知機能の評価も行った。ただこちらについてはまだ事例数が少ないため、次年度に増やしていきたいと考えている。更に、米国における読み書き障害の児童生徒のみを対象とした教育の方法についても資料収集を行い、次年度の学習支援方法を検討するための下準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、半年間であったにも関わらず中学校において評価課題を作成するための基礎となるデータを収集でき、また聞き取りという形で、英語学習に困り感を抱える中学生の生の声を聴くことができた。この情報は、本研究を残り1年かけてまとめていくうえで非常に貴重なデータとなると考えている。また、本研究内容の、学会での発表の準備や、論文の執筆にも取り掛かることができていることから、研究はおおむね順調に進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度収集したデータをもとに、翌年度は評価課題の作成に取り掛かる。この評価課題が完成した暁には、英語の読み書きの困難さが、未学習である状態なのか、あるいは認知特性により学習しにくい状態が生まれているのかを分離することが可能になり、現在英語学習に困り感を抱えている多くの生徒及び教師を助けるものとなると考えている。本年度は、本研究の完成に向けて追加となるデータを収集し分析していくことと、研究をまとめて発表することを並行して進めていく。
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