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2015 年度 実績報告書

原子間力顕微鏡による化学反応の力誘起

研究課題

研究課題/領域番号 15H06127
研究機関東京大学

研究代表者

塩足 亮隼  東京大学, 新領域創成科学研究科, 助教 (50755717)

研究期間 (年度) 2015-08-28 – 2017-03-31
キーワード原子間力顕微鏡 / 走査トンネル顕微鏡 / 単分子化学 / メカノケミストリー
研究実績の概要

本研究は、探針と固体表面上の原子・分子との間に働く力を検出する原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、原子間力によって誘起される化学反応を単分子レベルで制御することを狙っている。今年度の研究で得られた成果を下記に示す。
(1) 探針からの力によるNOの構造変化の誘起
一酸化窒素(NO)をCu(110)表面上に吸着させ、低温AFMと走査トンネル顕微鏡(STM)によって同時測定した。NOを先端に修飾させた探針(NO tip)を、表面上のNOに接近させると、表面上のNOが直立構造から傾いた配向に変化することを見出した。この配向変化はトンネル電子注入では起こらず、探針の接近によって誘起される構造変化であることが示された。また、金属探針 (metal tip) ではこの構造変化は起こらず、探針先端の修飾した分子との相互作用が重要であることが示唆された。
(2) 探針からの力による多環芳香族分子の化学反応の誘起
多環芳香族分子の一種 diazulenophenanthrene をCu(001)表面上に吸着させ、低温AFMとSTMによって同時測定した。試料の加熱によって生成した反応物の中に、表面から突き出たお椀型の配向の分子種が存在した。その分子種に探針を接近させると、平面構造である別の分子種に非可逆的に変化することを見出した。この変化はトンネル電子注入では起こらず、探針と分子間に働く力によって誘起される化学反応であることが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Cu(110)表面上のNO、Cu(001)表面上のdiazulenophenanthreneという2つの系に対して、探針の接近によって構造変化や化学反応が起こることを発見し、本研究の目的の一つである、力誘起による新規な化学反応の発現が達成された。一方、安定した力測定が可能なAFM探針の準備に時間を要したため、上記の反応を誘起する力の精密測定には至っておらず、引き続き調査する必要がある。

今後の研究の推進方策

当初の研究計画に沿って引き続き研究を遂行する。
これまでに発見した、力によって誘起される構造変化や化学反応について、AFMによる力の精密測定を行う。探針と吸着分子との間に働く力を定量的に評価し、反応座標を明らかにする。
それと並行して、別の有機分子をAFMによって測定し、新規な力誘起化学反応を探索する。
さらに、理論計算グループとの連携によって、力によって誘起される化学反応のメカニズム解明を狙う。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Cu表面上におけるNOの価電子状態と非弾性トンネル分光測定2016

    • 著者名/発表者名
      塩足亮隼、八田振一郎、奥山弘、有賀哲也
    • 学会等名
      第63回応用物理学会春季学術講演会
    • 発表場所
      東京工業大学 大岡山キャンパス
    • 年月日
      2016-03-20 – 2016-03-22

URL: 

公開日: 2017-01-06  

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