原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、表面に吸着した分子の高空間分解能観察と、歪みによって誘起される化学反応の観測を行った。 一酸化炭素修飾探針によるAFM観察により、銅表面上に成長した水一次元鎖の内部の個々の水分子を可視化した。探針―試料間に働く力の精密測定によって、このAFM像は「酸素骨格」に相当していることを示した。 さらに、銅表面に吸着したアズレン誘導体分子について、表面吸着によってアズレン基が大きく歪むことを解消するために、加熱によってアズレン―フルバレン転位が起きることを明らかにした。この骨格転位反応は、有機合成では起こらず、表面上での歪みによって誘起される新規な反応であることを提示した。
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