海洋環境は生物の成熟サイズや生殖腺重量などの生活史パラメターに質的に影響することによって、個体群動態という量的変動につながる可能性が考えられる。そこで沿岸性水産重要種であり、雄に大型ペア雄・小型スニーカー雄という二型が見られるヤリイカを用いて、海洋環境変動が繁殖特性にどのように影響しているかを検討した。その結果、雄の成熟サイズや二型の割合は年や季節により大きく変動した一方、雌の成熟サイズはほぼ一定であった。しかし雌の生殖腺重量は変動したことから、海洋環境変動は産卵数を通じて個体群動態に影響する可能性が考えられた。
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