研究実績の概要 |
副腎白質ジストロフィー(Adrenoleukodystrophy:ALD)は、ABCD1を原因遺伝子とするX染色体劣性遺伝性の神経変性疾患であり、中枢神経障害(炎症性脱髄)を認める疾患であり、時に副腎不全を来す。多彩な臨床病型を呈するが、遺伝子表現型連関は明らかではない。本研究では特に原因遺伝子ABCD1の発現産物が局在するペルオキシソーム機能の多様性が関与する可能性を考慮し、ペルオキシソーム機能に影響を与え得る遺伝子群に着目し、ALD症例のExome解析で得られた解析データを用いて、表現型と関連した遺伝的因子の解明を目指すことを目的とした。 日本人ALD症例79例、in-houseコントロール503例のExomeデータを用いて、ペルオキシソームで機能する98の遺伝子群の中で、既知の病因変異, nonsense, frameshift, splice sites mutations, dbSNP 135に登録のない新規non-synonymous variants (SNV)の数は、ALD症例において79例中38例において認められた。また、コントロール503例中279例に認められた。新規variantsにおいては、サンガーシーケンスでもvarinatsが存在することを確認した。このような機能に影響を与え得るvariantsは多くの症例に認められることが今回の解析で判明した。今後表現型毎にvariantsを有する症例の数に差があるかを検討していくことが重要と考える。
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