研究課題
骨髄由来細胞における転写因子Fli1の恒常的発現低下は脈管形成に障害を来たす。脈管形成などの異常による新生血管形成の障害により血管の恒常性は破綻するが、12週齢の骨髄由来細胞特異的Fli1欠失マウスの皮膚血管の血管壁細胞のα-SMAの発現は低下しており、血管恒常性の破綻が示唆された。血管壁細胞の機能不全による血管不安定化は”pericyte loss”と呼ばれ、特徴的な血管障害を来たす病態として知られている。そこで、骨髄由来細胞特異的Fli1欠失マウスの皮膚血管の機能的・構造的な血管障害について検討した。まず、Evans Blue dyeを尾静注し皮膚血管からの漏出を評価する血管透過透の検討では、骨髄由来細胞特異的Fli1欠失マウスにてEvans Blue dyeの血管外漏出が見られ、皮膚血管の脆弱化が見られた。また、骨髄由来細胞特異的Fli1欠失マウスでは皮膚真皮の細動脈において血管内皮細胞数の増数、血管内腔面積の狭小化そして血管径の拡大があり、増殖性血管障害が見られた。FITCデキストランによる皮膚血管の観察では細動脈の虫食い状の狭小化が見られたこともこの結果を裏付けている。また、FITCデキストランによる皮膚血管の観察で毛細血管の消退が見られ、皮膚組織のvon Willebrand因子染色にて毛細血管数を計測すると骨髄由来細胞特異的Fli1欠失マウスでは毛細血管数が減少しており、破壊性血管障害も見られた。これらの血管障害について4週齢、8週齢のマウスでも検討したところ、4週齢では毛細血管でのみ血管壁細胞のα-SMAの発現低下がみられ、Evans blue dyeの漏出はごく軽度であり増殖性血管障害や破壊性血管障害はみられなかった。その後、8週齢では加齢に伴って細動脈・細静脈にも血管壁細胞のα-SMAの発現低下が見られ、増殖性血管障害や破壊性血管障害が明らかであった。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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The Journal of Rheumatology
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The Journal of Dermatology
10.1111/1346-8138.13827