研究実績の概要 |
平成29年度は、前年度までに引きつづき、健常者、統合失調症の早期段階が疑われるリスク期の患者、初回エピソード統合失調症の患者で聴性定常反応(ASSR)課題中の脳波を計測した。脳波は、先行研究と同様のプロトコルで、慢性期統合失調症患者でもγオシレーション異常の再現性が繰り返し確認されており、申請者の先行研究でも妥当性が確認されたものである(Tada et al., Cereb Cortex. 2016)。健常者31名、リスク患者27名、統合失調症患者19名の脳波データの解析を終了した。解析は、時間周波数解析を用いて、位相とパワー値の変化を検出した。 課題中のガンマオシレーションである40Hz刺激条件中のASSRは、リスク期の患者と統合失調症患者で低下していることを認めた。さらに、ガンマ帯域の自発活動を調べたところ、統合失調症患者ではガンマ帯域のパワー値の増加を認めた。さらに、ASSRと自発ガンマ活動は互いに関連を認めた。また、患者の臨床症状について、広く使用されているPositive And Negative Symptom Scale (PANSS) を用いて、評価し、脳波指標との関連を調べたところ、陽性症状と脳波指標が関連することを見出した。 これらの結果は、第39回日本生物学的精神医学会で報告を行った。本研究の成果は、学術雑誌へ論文発表を予定している。
|