統合失調症は、陽性症状、陰性症状、認知機能障害により、社会的機能が低下する精神疾患の一つである。思春期以降に発症することが多く、再発と寛解を繰り返し、慢性の経過をたどる。十分な治療法が存在せず、当事者のみならずそれを支える家族も大きな苦悩を抱え、生物学的な病態解明が急がれる疾患の一つである。その中で、申請者は一卵性双生児統合失調症不一致例リンパ芽球様細胞を用いた発現解析から、分子生物学的差異の存在、並びに有力な候補遺伝子としてDPYDとIGHMを見出していた。しかし、その発現の差をもたらしうる原因については不明であり、その原因探索としてコピー数多型解析を一卵性双生児統合失調症不一致例3組(41歳女性、46歳女性、28歳女性)を対象とし、末梢血白血球由来のゲノムDNAを用いて研究を行った。コピー数多型解析では、一卵性双生児不一致間のDPYDとIGHMには明らかなコピー数多型の差を認めず、今後全エクソン解析、DNAメチル化解析、エクソン欠失解析などをDPYDとIGHMに対して行っていく必要があると考えられた。
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