研究課題/領域番号 |
15H06170
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岡田 慶太 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (50759173)
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研究期間 (年度) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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キーワード | HIF-1α |
研究実績の概要 |
①関節軟骨における部位毎のHIF-2αのin vivo機能解析:Prg4-GFP-CreERT2マウス、Col2a1-CreERT2マウスとHif2a-floxマウス、CAG-EGFP-Hif2a(Hif2a-cTg)マウスを交配し、in vivoでの機能喪失および機能増強実験の準備を行った。多少交配に時間を要したが、必要マウスを作出し、量産している最中である。関節軟骨でのHIF-2αの分布を免疫組織染色で確認し、喪失と増強を確認した。結果を得るのに時間を要する自然経過モデルから作成し、現在変形性関節モデルに取り掛かったところである。 現在までの経過では、HIF-2αが関節軟骨最表層において重要な役割を担っている可能性を示唆するデータが得られている。 ②関節軟骨における部位毎のHIF-1α、HIF-2αの標的遺伝子の網羅的探索:関節軟骨表面と深層の細胞を分離培養し、マイクロアレーで遺伝子プロファイリングを行ったところ、HIF-1αとHIF-2 αの発現量が異なることが分かったが、その標的遺伝子は絞り込めなかった。そのため、関節軟骨を用いたChIPシークエンスを行い、マイクロアレーと照合することで標的遺伝子を探索する。 ③脊椎・椎間板における酸素濃度分布と、HIFの発現解析: こちらの実験は現在までうまくいっておらず、低酸素プローブが脊椎椎間板へ後腹膜ルートではデリバリーされないことが分かった。そのため、現在後腹膜ルート以外の方法を模索している。椎間板、脊椎でのHIFの発現は凍結切片を用いて行うことができ、椎間板内ではHIF-1αが多く、HIF-2αの発現は少ないことが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在までの進捗は脊椎、椎間板への低酸素プローブ実験以外はおおむね順調に進んでいる。低酸素プローブの実験は投与ルートの再考とプローブ自体の変更も検討している。 in vivoの実験は予定通り、交配が進んでいるが、ケージ数に限りがあり、予算の関係で縮小を余儀なくされた場合に計画よりも遅れる可能性がある。変形性関節症モデルのように1サイクル3か月かかる実験とターンオーバーの短い実験とを組み合わせて行っていく予定である。 in vitroの実験ではHIFが分解されないよう、低酸素環境で実験を行うことが重要であるがこれまでの経験から安定した結果が得られている。本年度もこのままの形態で実験を行っていく予定であり、関節軟骨におけるHIFの標的分子を解析していく。
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今後の研究の推進方策 |
①関節軟骨における部位毎のHIF-2αのin vivo機能解析:Col2a1-CreERT2マウスとHif2a-floxマウス、CAG-EGFP-Hif2a(Hif2a-cTg)マウスを交配させ、in vivoでの機能喪失および機能増強実験をすすめる。具体的には変形性関節症モデルや自然経過モデルを用いて、HIF-2αの関節軟骨における部位別機能を解明する。 ②関節軟骨における部位毎のHIF-1α、HIF-2αの標的遺伝子の網羅的探索:昨年度の結果をうけ、HIF-1 α、HIF-2αのChIPシークエンスを行い、下流の標的分子を探索する。細胞は深層と表層に分離したそれぞれの関節軟骨細胞を用いて行う。Prg4-GFP-Creマウスを用いてFACで細胞を分離することで精度をより高める予定である。 ③脊椎・椎間板における酸素濃度分布と、HIFの発現解析:低酸素プローブの実験では条件検討を重ねつつ、in vivoでの解析を当初の計画通り行う。関節軟骨の実験でも用いているCol2a1-CreERT2マウスをHif1a-floxマウス、CAG-EGFP-Hif1aマウス、Hif2a-floxマウス、CAG-EGFP-Hif2aマウスと交配させ、脊椎、椎間板変性におけるHIFの関与を検証する。
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