1)関節軟骨における部位毎のHIF-2αのin vivo機能解析:HIF-2αを関節軟骨深層で過剰発現することで変形性関節症が進行したのに対し、関節表面で過剰発現することで変形性関節症は抑制された。 2) 関節軟骨における部位毎のHIF-1α、HIF-2αの標的遺伝子の網羅的探索:昨年度行った関節軟骨表層と深層でのマイクロアレーと今年行ったChIPシークエンスを照合したところ、HIF-1 α、HIF-2αの標的遺伝子として報告されているものとともに、TGFβに関連する遺伝子が変動していた。 3) 脊椎・椎間板における酸素濃度分布と、HIFの発現解析様々なプローブを用いて脊椎・椎間板の酸素濃度分布の測定を試みたが、プローブがうまくデリバリーされず残念ながらうまく描出することができなかった。しかし免疫組織染色ではHIF-1αが髄核を中心に発現しているのに対し、HIF-2αに線維輪に多く発現していた。加齢性変化に伴い、HIF-2αの発現が増強し、線維輪の広範におよぶようになることが分かった。また、髄核と線維輪の発現解析でも同様の結果が得られた。 4)脊椎・椎間板におけるHIF-1α、HIF-2αのin vivo機能解析:HIF-1αとHIF-2αのコンディショナルノックアウトマウスを用いて加齢性変化を見た実験では、両者とも明らかな差は見られなかった。追跡期間が1年と短かったことが考えられるため、現在椎間関節切除を行う変形性腰椎モデルを確立し、実験を継続中である。
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