研究課題
マウス腹膜癌モデルにおいて、KRAS導入株では炎症の増悪と好中球の増加が見られた(Yoshida M and Taguchi A et al. Plos One 2016)。①好中球の検討好中球の関与を検討するために好中球マーカーである抗Ly6G抗体を用いて、Ly6G陽性細胞のdepletion検討を行った。その結果、好中球depletion群において、腫瘍形成・腹水産生の促進を認めた。また、T細胞の分画に変化を認め、CD8陽性T細胞の減少と共に、CD4陽性T細胞の増加を認めた。がん性腹膜炎中好中球を単離し、naiveCD8 T細胞との共培養による増殖アッセイを行ったところ、KRAS導入がん性腹膜炎由来の好中球は強いCD8増殖促進能を持っていることが解明された。また、その機序として、好中球に発現するT細胞共刺激分子であるOX40Lや4-1BBLが関与している可能性が示唆された。②炎症に着目した獲得免疫の検討KRAS導入腹膜癌細胞においては、炎症の増悪を認めた。T細胞の表現型に着目をした。T細胞のサイトカインプロファイルを検討した結果、担癌マウス腹水中のT細胞はIL10を発現していることが分かり、それはKRAS導入腹膜癌モデルにおいて顕著に増強されていることがわかった。また、T細胞のPD-1, Tim3といった疲弊マーカーの発現増強が見られた。更に、腫瘍細胞のトランスクリプトーム解析より、癌細胞はIFNg刺激によりCXCL10を発現させることを解明し、またKRAS導入腹膜癌モデルの腹水中では非常に高濃度のCXCL10が検出されることを解明した。“炎症→CXCL10発現→活性化T細胞の誘導→炎症性環境におけるT細胞疲弊”が起こっている可能性が示唆された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Plos One
巻: Aug 2;11 ページ: ー
10.1371/journal.pone.0160330. eCollection 2016.