研究実績の概要 |
抗癌剤単独での抗腫瘍効果やアポトーシス誘導をMTT assay, FACS, Annexin V, TUNEL法で評価した後に、PI3K/mTOR阻害剤との併用実験を行った。シスプラチン、カルボプラチン、パクリタキセルとPI3K/mTOR同時阻害剤の併用では相加効果は見られるものの相乗効果が得られなかった。時間差での投与(抗癌剤投与→PI3K/mTOR阻害剤投与またはPI3K/mTOR阻害剤→抗癌剤投与)も行ったが抗腫瘍効果、アポトーシス誘導いずれにおいても相加効果にとどまった。今後は相加効果により抗癌剤使用量を減量し副作用を減らすことができないかについて検討する。 平成27年度の実験において、申請者らは卵巣明細胞癌においてはp53遺伝子変異の有無がPI3K/mTOR同時阻害剤によるアポトーシス誘導の効果に影響を与えることを明らかにした。PI3K/mTOR同時阻害剤のアポトーシス誘導効果を高めるため、p53依存性アポトーシスに関わる経路の阻害剤数種との併用効果について検討した。またPI3K/mTOR同時阻害剤添加により活性化するMAPK経路の阻害剤についても併用効果を検討した。このうち、MDM2阻害剤とMEK1/2阻害剤ではFACS、Annexin V、TUNEL法を用いたアポトーシス誘導の評価において相乗効果をもたらす可能性が示唆された。現在これらの薬剤の併用効果をヌードマウスを用いて確認する準備をすすめている。
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