研究課題/領域番号 |
15H06175
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉田 昌史 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80396754)
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研究期間 (年度) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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キーワード | 頭頸部癌 / 酸化ストレス / 蛍光イメージング |
研究実績の概要 |
開発したGSH感受性蛍光プローブに関して、論文投稿のためのデータ集積に時間を要し、本研究自体の進行状況は当初よりやや遅れている。ただし論文投稿のための実験結果から、本プローブの有用性および細胞内GSH濃度測定のための必要な条件および検証すべき事項(細胞内pHや細胞の条件)についてはかなり検討を進めることができ、安定した実験結果が得られるようになった。結果培地内のGlucose濃度を変化させると速やかに細胞内GSHが変化する事が判明した。現在は頭頸部癌細胞による実験を継続して行っており、GSH濃度に影響を与える因子として予定していた以外の要素も検討していく予定である。結果の一部は5月に行われる日本耳鼻咽喉科学会総会ならびに学術集会において発表する予定である。細胞実験がまとまり次第、マウスモデルを用いたin vivoイメージング実験もあわせて行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究計画の通り初年度は頭頸部癌由来の培養細胞系において蛍光イメージングを中心に細胞内GSH濃度と酸化ストレス耐性に関しての知見の集積を行った。本研究と同時に、開発したGSH感受性プローブに関しての論文投稿のための実験を行っていたが、こちらに予定より時間を要したため当初の予定より進行はやや遅れている。しかしながらその実験において本研究においても重要な結果が得られた。当初予定していたdichloroacetic acid(DCA)による解糖系の阻害実験において、過去の文献通りの濃度のDCAを投与すると細胞内のpH変化が無視できないことが判明した。開発したプローブのGSHとの反応性はpHに依存するためDCA投与によるイメージング結果は正確なGSH濃度を反映できないという結論に至った。しかし、培地中のGlucose濃度を変化させてもpHの変化は許容範囲内で、かつGSH濃度も速やかに変化するという結果を見出す事ができた。これらの実験によりイメージング結果の妥当性を検証するためのpH変化測定等の手法が確立できたため、これらをもとにGamma-glutamyltransepeptidase(GGT)などGSH濃度に影響するであろう因子の解析を行っているところである。
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今後の研究の推進方策 |
現在進行中の培養細胞系での実験においてはGSH濃度に影響する因子の解析を行うとともに、細胞腫間およびGSH濃度の差異によりシスプラチンへの感受性が変化するかどうかを検証する予定である。また次の段階として当初の予定とおり舌癌モデルマウスを作成し、GSH濃度変化がシスプラチン耐性に与える影響、およびモデルマウスにおけるin vivoイメージングを行い、癌の検出さらには治療抵抗性との関連付けを行っていく予定である。
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