ニアミス症例とは、重篤な産科合併症で死に直面しながら幸いにも生き延びた事例である。本調査は、2015年1月~12月にエルサルバドルの国立病院2施設の集中治療室(ICU)に産科合併症で入院した患者のカルテから情報を収集した。産婦人科領域で国内唯一の第三次医療機関である国立女性病院へは608名が、地方の第二次医療機関へは19名が入院し、施設毎の死亡者数は、それぞれ26名と1名だった。 また、2016年に国立女性病院ICUに入院経験のある元ニアミス症例30名に、ニアミス状態に至った経緯・経験に関する個別インタビューを行ったところ、要因は妊産婦・医療従事者・医療システム等、多岐に渡っていた。
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