研究課題
【研究の目的】WNK4は遺伝性高血圧疾患偽性低アルドステロン症II型(PHAII)の原因遺伝子の一つであり,遠位尿細管においてOSR1/SPAKを介してNa-Cl共輸送体を制御し,PHAIIのみならず塩分感受性高血圧の病態に深く関わる.一方WNK4の腎以外における知見は乏しく,特に代謝との関与は不明である.このため我々はWNK4の新たな機能解明を目的とした.【方法】脂肪細胞への分化能を有する3T3-L1繊維芽細胞やヒト間葉系胚細胞を分化させ,WNK4のノックダウン,定量PCR等を行いWNK4の機能を解析した.またWNK4ノックアウト(WNK4KO)マウスを解析した.【結果】WNK4は3T3-L1繊維芽細胞には殆ど発現していないが,脂肪細胞分化に伴い急速に発現量が増大した.WNK4ノックダウンは脂肪細胞のマスターレギュレーターであるPPARγやC/EBPαの発現を抑制し,これらはヒト間葉系胚細胞でも再現された.さらにWNK4KOマウスは野生型に比べ高脂肪食誘発性肥満に抵抗性で,インスリン感受性にも優れていた.【結論】WNK4が脂肪細胞分化を制御することが示された.WNK4の抑制はメタボリックシンドロームなど高血圧と肥満を合併した病態の治療に有用と考えられた.上記内容は2017年3月EBioMedicine誌(DOI:http://dx.doi.org/10.1016/j.ebiom.2017.03.011)に報告した.
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
EBioMedicine
巻: 18 ページ: 118, 127
http://dx.doi.org/10.1016/j.ebiom.2017.03.011