研究実績の概要 |
監獄関係文書の分析のために前年度に引き続き資料収集を行なった。ただし、英領インドに関する資料収集は前年度にひと段落ついているため補足的な資料を収集するのみとした。デリーの中国研究所のブリジ・タンカ教授とピーター・ジョイ・ハドソン氏とは引き続き意見の交換を行なった。一方で、前年度から集中的に資料収集を開始した三池集治監に関する資料については、大牟田市立図書館に加えて、大牟田市生涯学習センターに所蔵されている資料の調査を行なった。 監獄関係文献のテキスト化・コード化の作業としては、TEI-XMLを基本としたコード化の作業を継続した。ごく基本的な部分は業者委託したうえで、さらに詳細な部分について実際の作業を通じて検討を行なった。これにより、監獄制度関係の文書のテキスト化に適したコード化の方法を明らかにするとともに、得られた知見をコード化の支援システムの開発過程に反映した。 また、前年度に引き続き時系列的にテキストを比較するためのSENDAGI: Metahistory Tracker、コンコーダンス機能を援用したテキスト編集ツールNEZU: Concordance Editorを開発した。これらを活用することで、歴史資料どうしの比較や、資料内の複数部分の関係の分析を支援することができるようになった。 こうした、資料基盤と研究支援システムを活用して分析を行ない、国際学会(Association for Asian Studies, Seattle, 2016年4月)や講演(ふるさと大牟田の歴史と文化講座、大牟田、2016年10月)などを通じて学術的にも社会的にもフィードバックを行なった。また、学術論文のかたちで成果発表を行なっている(Asia-Pacific Journal, 2017年1月)。
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