研究課題
アモルファス酸化物半導体は、従来の半導体と比較して全く異なる性質を示す。本材料はその優れた特性のためディスプレイ量産へ既に採用されているが、発表当初に期待された透明フレキシブルディスプレイへの採用は未だ消極的である。その一因として動作不安定性を引き起こすアモルファス酸化物における欠陥やその電子構造が十分に理解されていないことが挙げられる。本研究の目的は、アモルファス酸化物半導体において、結合状態の異なる水素や酸素を意図的に導入し、それらの電子構造・欠陥構造および電子デバイスへ与える影響を明らかにするものである。本研究において以下の結果を得て学術論文として公表した。1.a-IGZOを作製する際に酸素供給が少ない場合、多量の欠陥準位を生成する。我々は硬X線光電子分光法を用いいることによって、インジウムの金属が析出し、ギャップ内へ欠陥準位を生成することを明らかにした。このような状況においては、薄膜トランジスタが動作するために600℃程度の後熱処理を必要とすることがわかった。2.イオン性かつアモルファス構造を持つ新規分類の半導体として、その微細構造はよく知られていない。我々は透過型電子顕微鏡を用いて、アモルファスの微細構造を調査した。成膜時圧力を制御することにより、膜密度を制御できることを見出し、そのような膜には多量の不純物種が取り込まれていることを明らかにした。また、熱処理に依る挙動を観察することにより、アモルファス半導体特有のvoid構造の変化を明らかにした。3.プラズマ、熱、圧力をパラメータとした各種水素処理が存在するが、それらが与える半導体特性および電子構造への影響を調査した。多くの関心が集まる価電子帯近傍の欠陥準位が複数の要因からなることを明らかにした。4.上記を理解することにより、超ワイドギャップアモルファス半導体や、室温形成蛍光薄膜を得ることに成功した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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