本研究では、日本のレコード産業について、製造業としての特質に着目しつつ、長期的視野からその発展過程を明らかにした。1967年までの前半期においては、日本レコード産業において企業を取り巻く環境は大きく変化せず、技術及び音楽ソフト、販売チャネルに強みを持つ戦前期からの上位企業が支配的な地位を維持した。1968年~1980年の後半期には、参入障壁と先行者優位が消滅して先発企業の市場シェアが低下し、最終的には後発企業が業界首位となった。本研究では後発企業が音楽ソフトや技術を利用して新規参入に成功し成長するプロセスも明らかにした。
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