研究実績の概要 |
ミトコンドリアを選択的に分解するオートファジーはマイトファジーと称され、ミトコンドリアの品質管理を担う酵母からヒトまで保存された重要な生理機能である。本研究では酵母におけるマイトファジーレセプターAtg32の制御機構の解明を目的としている。栄養飢餓などのマイトファジー誘導条件下において、カゼインキナーゼ2(CK2)によるAtg32のリン酸化がマイトファジーの最初のステップであるが、CK2は恒常的に活性を有するキナーゼであるにもかかわらず、マイトファジー誘導時にのみAtg32をリン酸化する制御機構はこれまで全くわかっていなかった。平成27年度は、CK2によるAtg32のリン酸化を阻害する因子が存在するという仮説のもと実験を進めた。マイトファジー誘導条件下でAtg32がミトコンドリア上に集積する現象が既に分かっていた。本研究では、GFP-Atg32の蛍光顕微鏡による局在観察を指標として、酵母の遺伝子破壊株ライブラリー(約 5,100 株)からマイトファジー非誘導条件下においてもGFP-Atg32の集積を引き起こす変異株(すなわちリン酸化阻害因子)をスクリーニングした。その結果、多数の変異体が取得され、現在その詳細な解析を行っているところである。
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