• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2015 年度 実績報告書

ホスホニウムベタインを用いたデザイン型マルチ機能触媒の設計開発

研究課題

研究課題/領域番号 15H06242
研究機関信州大学

研究代表者

戸田 泰徳  信州大学, 学術研究院工学系, 助教 (60758978)

研究期間 (年度) 2015-08-28 – 2017-03-31
キーワード有機分子触媒 / 二官能性触媒
研究実績の概要

一つの分子が異なる反応形式で基質を活性化する、従来の有機分子触媒では困難であったマルチ触媒としての機能をもつ新規有機分子触媒の創生とその多機能性の評価を軸に「デザイン型マルチ機能触媒による高効率・高選択的な新規触媒反応の開発」を目的とし、研究を行った。本研究ではホスホニウムベタインの性質を理解する必要があるため、まずアキラルなホスホニウムベタインの合成から着手した。具体的にはブロモフェノール誘導体を出発原料とし、カップリング反応と中和反応の2工程を経ることにより、目的とするホスホニウムベタインの合成に成功した。化合物の構造は、NMRスペクトル解析および単結晶X線解析によって決定した。これまでホスホニウムベタインの合成例は限られており、今回確立した合成法は触媒ライブラリ構築の観点からも優れた手法であるといえる。また、その触媒能を調べた結果、アルコールのアシル化を促進することを見出した。一方、ホスホニウムベタインによる二酸化炭素固定化も検討したが、エポキシドの環拡大による環状カーボネート合成反応においてベタインは全く触媒能を示さなかった。しかし、ベタイン前駆体のホスホニウム塩を用いたところ、同反応の触媒として機能することが明らかとなった。基質一般性を調べた結果、光学活性なエポキシドを用いた場合はほぼ完全な立体保持で生成物が得られ、本触媒系の有用性を示すことができた。今後は光学活性なホスホニウムベタインの合成とそれを用いた不斉触媒反応の開発を目指す。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

アキラルなホスホニウムベタインの合成に成功し、アシル化反応におけるホスホニウムベタインの触媒能を見出しており、触媒合成法の確立という観点からはある一定の目標は達成されたと考えている。一方、当初の目標としているマルチ機能の創出には至っていない。また、不斉触媒についても、既に鍵合成中間体であるホスホニウム塩の合成は行ったものの、ホスホニウムベタインへの誘導および不斉触媒反応は未検討となっている。したがって現在までの進捗状況を「やや遅れている」と判断した。

今後の研究の推進方策

研究実績の概要にも示したが、アキラルなホスホニウムベタインがアルコールのアシル化を触媒するという結果が得られている。したがって、ベタインを用いた2級アルコール存在下における1級アルコールの選択的なアセチル化を検討する。また、ベタイン前駆体のホスホニウム塩がエポキシドと二酸化炭素とのカップリング反応を促進することが明らかとなっている。触媒反応を通してホスホニウム塩の性質を理解するという研究目的に従い、本反応をさらに検討する他、エポキシドの窒素類縁体であるアジリジンにも展開し、反応のスコープを拡充する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] ホスホニウム触媒を用いた常圧下での二酸化炭素固定化による環状カーボネートの合成2016

    • 著者名/発表者名
      小見山裕崇、戸田泰徳、菅博幸
    • 学会等名
      日本化学会第96春季年会
    • 発表場所
      同志社大学京田辺キャンパス
    • 年月日
      2016-03-24

URL: 

公開日: 2017-01-06  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi