本研究ではクモ膜下出血(SAH)において、特に早期神経傷害が起こりやすいと考えられる白質組織に注目した。白質神経傷害の機序解明により新規治療の可能性を見出すことを目的とした。SAH急性期には微小血管の破綻が起こることで白質に選択性の高い浮腫が生じており、matrix metalloproteinase (MMP)-9, Lipocalin (LCN)-2等の因子が関与していることが明らかとなった。白質浮腫は亜急性期以降の白質神経線維脱落と相関し、またMMP-9やLCN-2の抑制によりSAH急性期の白質浮腫と続発する神経傷害を制御できる可能性が示唆された。
|