昨年度より引き続き,マイクロピラーのパターン間隔を変えたフィルター用のマイクロピラーアレイを作製し,その効果を確認した.マイクロピラーの間隔を変えることにより,70μmのサイズの粒子と,2~5μm程度のサイズの粒子を分離するフィルター機能の原理確認に成功した. また,従来のマイクロピラー構造とは異なる非対称の構造をチップ上に作製し,振動を印可した際に非対称な流れが生じることを観察した.これを応用して,チップに印可する円振動の方向を時計回り,反時計回りと切り替えることによって,それぞれ異なった流れのパターンを誘起し,異なる操作モードを実現し,なおかつそれを任意のタイミングで切り替えることが可能であることを示した.その応用として,細胞を一つずつ任意のタイミングで搬送する細胞ローディングや,チップ上の一部に細胞を濃縮する局所濃縮等の操作を実現した. さらなる応用として,従来のマイクロピラー構造体に非対称な振動を印可した際に,非対称な流れが生じることを観察し,その現象をもとに新たな操作が可能であることを示した.一例として,マイクロピラーアレイに対して,直線振動を印可することにより,ピラー間に細胞をトラップする流れを引き起こし,単一細胞のトラップができることを確認した.この応用として,従来技術では難しかった,運動性細胞の単一トラップを実現した.
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