マウス卵巣内における卵胞発育動態をライブイメージング解析するために、原始卵胞の段階から卵母細胞特異的に発現するoog1遺伝子のプロモーターにAcGFP遺伝子を結合した遺伝子をもつ遺伝子改変マウスと、ヒストンタンパク質histone2BにmCherryを結合した遺伝子をもつ遺伝子改変マウスを導入し、繁殖を開始した。2系統のマウスをかけ合わせる事によって卵母細胞や顆粒層細胞等の動態がリアルタイムに観察できるため、卵胞の発育過程を連続的に観察することができる。両遺伝子をもつマウスの卵巣を用いてタイムラプス撮影の条件検討を行い、組織にダメージを与えずに卵胞発育過程がトレースできる条件を確定した。培養卵巣組織のタイムラプス撮影によって得られたデータがin vivoでも見られるものかを検証するため、生後1日目から12ヶ月齢までのICRマウス卵巣を経時的にサンプリングし、H.E.染色後、組織切片の3次元構築を行い、解析を行った。この解析によって卵巣内における卵胞の経時的な変化を位置情報を紐付けして観察、解析することができる。現在解析中であるが、生後1日目から4週齢までの卵胞発育動態に関しては、両者で相関関係があることが確認できた。連続的なデータを卵巣組織培養、ライブイメージング解析で取得し、生体内の卵胞発育動態は経時的にサンプリングした卵巣組織切片の3次元構築画像からデータを取得することによって、卵巣内での卵胞発育動態を解析するための実験系が構築できた。この手法は卵巣組織内の動態をリアルタイムで解析できる新しい実験方法であり、今後の実験によって新しい知見が多く得られることが期待できる。
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