外科的切除断端の評価は、長らく顕微鏡検査による視覚的な診断で行われている。しかし、この方法で断端に癌遺残なしと診断された場合にも、術後に局所再発をきたす場合が少なくない。これは視覚的には捕らえられない癌化細胞の遺残が原因だと考えられ、これらを同定するためには切除断端サンプルを分子生物学的に解析する必要がある。我々は独自の方法(Margin imprint法)で、凹凸のある広い外科的剥離面から効率的に切除断端細胞を回収し、そこにメチル化などの癌特異的な遺伝子異常が含まれていないか調べる実験系を確立した。これまでの病理組織学的診断を補完する診断法として、広く臨床応用できないかと考えている。
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