平成27年8月~28年3月まで1年半の期間において「精神科看護技術評価の明確化に関する研究」に取り組んだ。研究目的は、精神科看護技術評価の尺度開発と精神科看護師のメンタルヘルスの実態を明らかにすることである。はじめに、筆者が開発した『精神科における看護技術評価尺度(嶌田ら,2010)』の項目表現を洗練しながら質問紙原案を作成した。内容妥当性を確認するため、精神看護専門看護師2名に依頼しスーパーバイズを受けた。質問項目は、指導助言を受けて加筆修正したものをアンケート調査用紙とした。精神科看護師の調査施設は、2016年日本精神科病院協会で研究承諾が得られた全国34施設へ郵送法による質問紙調査を実施した。回収数は、1076件(回答率74.7%)、有効回答1060件(有効回答率98.5%)であった。分析の結果、精神科看護技術評価尺度は「対人能力を高める自立支援」「共感的態度による治療的なかかわり」「心身アセスメントによる予防ケア実践」の3因子構造が妥当であると考えられ、下位尺度の内的整合性が高く、3つの下位尺度は互いに有意な正の相関を示した。スピアマンの順位相関分析では、全31項目において1%水準で有意な正の相関がみられ、信頼性・妥当性が確認できた。精神科看護技術評価尺度の得点範囲は、31~155点であり、全体の得点平均は、106.84点(SD17.32)であった。各得点領域は、平均値±1SDを基準に分けた。低得点領域(89点以下)は135名(12.7%)、中得点領域(90~124点)は754名(71.1%)、高得点領域(125点以上)は171名(16.1%)で正規分布を示した。分析対象者のGHQ-12の区分点は、健常者群(3点以下)55.1%、不健康リスク群(4点以上)44.9%の実態が明らかになった。
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