本研究の目的は、ビルマ・タイ国境における難民キャンプ及び、第三国の定住地で生活する難民の移動と定住をめぐり申請者が自ら作成したドキュメンタリ映像を事例に(1)ドキュメンタリー映像の対象となったカレン人難民の日常生活実践を明らかにし、(2)ドキュメンタリー映像がその対象とした事象をいかにとらえうるか自己再帰的に考察し、ドキュメンタリー作品制作における撮影・編集・上映の諸段階をとおした「撮る者ー撮られる者」の関係の動態を分析することである。 2年目の平成28年度は、アメリカでのフィールドワーク(サウスダコタ州・アバディーンとヒューロン)を実施し、第三国定住の移動と定住をめぐる日常生活実践の調査を行った。ドキュメンタリー映画制作における参与観察を伴う考察を行い、難民キャンプにおける日常実践との比較を行った。そして『夢の終わり(仮)ーOur Life 2』という作品を、大学の講義や研究会、アメリカでも撮影対象者向けに上映した。そして、上映における「撮られる者」の意見や感想を参与観察し、分析し、現在、論文にまとめている最中である。 なお、調査は継続中であり、今後は、難民帰還に伴うカレン難民の移動と定住に関するドキュメンタリー映画を制作し、第2部『故郷ーOur Life 2(仮)』をまとめる予定である。現在は、撮影対象者と大学などの内部上映のみ行っているが、調査終了後は、第一部と第二部を合わせて、一般公開へとつなげていく予定である。
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