本研究の目的は、複数の選好の異なる経済主体から成る家計が家計内の資源をどのように私的支出(衣類や小遣いなど)、公的支出(食事や子供の教育など)、市場生産(労働)、家計生産(家事と育児)、余暇へ配分するのかを個票データを用いて動学的な観点から分析することである。 本年度は、基本的な動学的な集合家計モデルを検討し、家計内資源配分の最適条件を導出した。また、幾つかの個票データを用いて、家計内の支出と時間の配分の動態を調べた。その結果、家計が単一の経済主体ではないことと、夫婦が結婚後予期せぬ賃金変化があった場合には再交渉によって家計内の資源配分を変化させることを示唆する結果が得られた。
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