研究期間中、3本の論文(単著2本、共著1本)、2回の研究報告(国内学会1回、英語ワークショップ1回)を発表した。また、3本の論文を執筆済みであり、次年度に公表される予定である。 論文について、①社会経済史学に掲載された「1920年イギリス財政法による帝国内二重所得課税救済制度の成立と影響」では、イギリスにおける帝国内外で差別的な二重課税制度の形成について分析を行い、②Business and Economic History On-Lineに所収された"The Formation of Companies for Tax Avoidance: The Relationship between UK Multinationals and International Double Taxation in the Interwar Period"では、両大戦喚起におけるイギリス多国籍企業の租税戦略について論じた。③北川亘太と共にディスカッションペーパーとして京都大学大学院経済学研究科に提出した「アメリカ社会の変化とJ.R.コモンズ「適正価値論」の形成」では、コモンズ研究自体だけでなくアメリカ社会経済史の包括的な記述を担当することで、世界初となった外国税額控除の実施がアメリカで行われた背景を記述した。 代表的な研究報告について、「20世紀前半の国際的二重課税問題と英日多国籍企業の在外事業コントロール――比較・関係・統一的理解へ」では、国際租税と多国籍企業の関係について英日比較を試みた。
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