研究課題
本研究では、制御性T(Treg)細胞における、E蛋白質とその拮抗因子であるId蛋白質を軸とした転写制御機構について、次世代シークエンサーを用いてゲノムワイドな解析を行い、Treg細胞の活性化・炎症抑制におけるクロマチン構造と転写制御のメカニズムを検討した。野生型とId2/3 dKOマウスからTreg細胞を単離し、ATAC-seqを行い、オープンクロマチン部位をゲノムワイドに解析した。その結果、野生型とId2/3dKOのそれぞれにおいて、およそ57000カ所のオープンクロマチン領域を同定した。そのうち、約47000カ所は、両者でオープンな領域であることが判明した。しかし、野生型とId2/3dKOの間でエンハンサー領域のクロマチンアクセシビリティの変化が見られ、その変化は、遺伝子発現(RNA-seq)の変化と有意に相関していた。さらに、それぞれのオープンクロマチン領域においてどのような転写因子結合配列がみられるかを検討するMotif解析を行ったところ、Id2/3dKO Treg細胞でE2Aの結合配列であるE-box配列が高頻度にみられた。その他、数種類の転写因子の結合配列も見つかり、E2Aとこれらの転写因子との相互作用も示唆された。さらにATAC-seqによるエンハンサー解析と、RNA-seqによる遺伝子発現解析と合わせた結果、E2AがCTLA4, CXCR5, IL10などのエフェクターTreg(eTreg)細胞で高発現するエフェクター分子の発現調節を制御している可能性が示唆された。このことは、ナチュラルTreg細胞から、活性型のeTreg細胞へと分化する過程において、クロマチン構造の変化を伴ってE―Id蛋白質が分化制御していることを意味し、その重要性が示された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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