研究課題/領域番号 |
15H06342
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
西崎 友規子 京都工芸繊維大学, 学内共同利用施設等, 講師 (60705945)
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研究期間 (年度) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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キーワード | 認知資源 / 社会性 / 個人差 / multi-task / 運転行動 |
研究実績の概要 |
認知資源の剥奪によって生じる社会性情報処理の変化について,認知資源容量,および社会的スキルの個人差を含めた実験的な検討を行う。運転行動などの複雑な認知活動においては,二重課題負荷による認知資源の剥奪により,そのパフォーマンス低下が生じることは自明であり,日常場面においても「ながらスマホ」といった複数同時課題の遂行による弊害が現代の社会問題となっている。一方,運転行動は他車や歩行者とのインタラクションを必要とする社会的な認知活動であり,社会的スキルが高い運転者ほど運転時においても社会性行動(歩行者への配慮等)を多く行うことが示されている。本研究は認知資源と社会性情報処理との関係,さらにその個人差が明らかにされ,運転場面や公共場面における安全行動やモラル行動推進のための指標を提案することを目標とする。 今年度は,認知資源容量の多い人と少ない人では,複数同時課題遂行時に認知資源の剥奪によって受ける影響にどのような差異が生じるのか,統制された実験環境下における検討を行った。剥奪される認知資源容量の程度による影響の基礎的な知見を得るために,まずは認知資源の剥奪によって受ける認知情報処理の変化について分析を試みた。その結果,認知資源容量の少ない人は,複数同時課題遂行時に認知資源を剥奪されても影響を受けない状況があることを明らかにし,認知資源容量の個人差によって複数同時課題遂行時の資源容量配分が異なる可能性を示唆した。 さらに,運転場面を模した複数同時課題遂行実験の実施に向けて,ドライビングシミュレータを導入し,実験環境の構築を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
認知資源の剥奪による認知情報処理の変化の個人差ついての基礎的な知見は得られたが,社会性情報処理の変化の個人差についての検討が遅れている。心理実験環境が未構築の環境であったため,一から実験環境を構築することに時間を有し,さらに社会的場面を模した運転場面の実験環境の構築には特に時間を要したことが理由として挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
社会的場面である運転場面を模した複数同時課題遂行実験の環境はほぼ整備されたので,来年度はドライビングシミュレータを使用した実験を実施する予定である。また,本年度に行った実験データを成果発表するための準備を並行して行う。
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